はじめに
「お酒を飲むとよく眠れる」と思って、寝酒を習慣にしていませんか?
実はアルコールは入眠を助ける一方で、睡眠の質を下げる原因にもなります。
今回は、研究や厚生労働省のガイドラインをもとに「アルコールと睡眠」の関係を解説します。
なぜ寝酒は逆効果なのか
アルコールには眠気を強めて入眠を早める作用があります。
しかし、代謝の過程で生じる「アセトアルデヒド」が脳を覚醒させるため、睡眠後半で中途覚醒や浅い眠りが増えます。
その結果、「寝つきは良かったのに夜中に目が覚めてしまう」「ぐっすり眠った感じがしない」といった状態につながります。
さらに、習慣的に続けることで不眠や生活習慣病のリスクも高まると指摘されています。

寝酒は“眠れる魔法”じゃないんだ。むしろ睡眠の質を下げちゃうから注意してね!
研究で示されていること
- 厚生労働省『健康づくりのための睡眠ガイド2023』では、アルコールは一時的に入眠を促す作用がありますが、睡眠後半では断片的な眠りを増やし、熟眠感を下げると指摘されています。
- Rundellら(1972, Psychopharmacologia)の研究では、若年男性にアルコール(0.9 g/kg)を与えると、入眠は早くなりましたが、最初のREM睡眠が遅れ、量も減る傾向が確認されました。
- Gardinerら(2024, J Sleep Res)の研究では、低用量でもREM睡眠が乱れる可能性を報告。高用量では深い睡眠は一時的に増えますが、後半のREMが大きく乱れることが示されています。
- Ebrahimら(2013, Alcohol and Alcoholism review)の研究では、アルコールは「入眠を早め、前半はまとまった睡眠になる」一方で、後半は覚醒や浅い睡眠が増え、効率が低下するとまとめています。
- McCullarら(2023, J Sleep Res)の研究では、連日寝酒をすると深い睡眠やREMの蓄積が乱れ、REM睡眠が有意に減少します。短期的には眠りやすいが、長期的に質を悪化させると結論づけています。
今日からできる!アルコールとの付き合い方
寝る直前の飲酒は避ける
→体内でアルコールが分解される時間を考えると、少なくとも就寝3時間前までには飲み終えるのが理想です。
休肝日をつくる
→毎日の寝酒は「依存」と「不眠」のリスクを高めます。週に数日はノンアルコールデーを意識しましょう。
眠れないときの代わりを見つける
→ハーブティー、ストレッチ、深呼吸など「リラックス習慣」を取り入れると、寝酒に頼らなくても自然に眠れるようになります。
まとめ
- アルコールは入眠を促すが、後半の睡眠を浅くし中途覚醒を増やす
- 習慣的な寝酒は睡眠障害や健康リスクを高める
- 「寝る3時間前まで」「休肝日をつくる」「リラックス習慣で代替」が快眠のポイント

寝酒は眠りを助けるどころか、むしろ眠りを邪魔しちゃうんだ!次からはハーブティーでリラックスしてみようよ!
参考文献
- 厚生労働省. 健康づくりのための睡眠ガイド2023.
- Rundell OH, et al. Alcohol, sleep and morning after performance. Psychopharmacologia. 1972.
- Gardiner PM, et al. Alcohol dose and sleep: a randomized study. J Sleep Res. 2024.
- Ebrahim IO, et al. Alcohol and sleep I: effects on normal sleep. Alcohol and Alcoholism. 2013.
- McCullar A, et al. Repeated alcohol use disrupts sleep architecture. J Sleep Res. 2023.


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